子どもが大人になるまで待つ、という選択|マリッシュ再開準備室
「子どものために、今は——」。そう考えて、離婚を踏みとどまっている方は、たくさんいらっしゃいます。
この記事では、子どもが大人になるまで“待つ”という選択について、離婚に踏み切った場合のリスクも見比べながら考えていきます。そして、「待つ=ただ我慢する」ではない、もうひとつの形もお伝えします。

📑 もくじ
「待つ」を選ぶ人が多い理由
「本当はもう、気持ちは離れている。でも、子どもがまだ小さいから」。そう言って、子どもが独立する年齢になるまで離婚を待つ——という方は、決して珍しくありません。
その背景には、離婚が子どもに与える影響への心配があります。とくに、離婚によって生活環境がガラリと変わってしまうことへの不安は、大きいものです。「自分の気持ち」と「子どもの安定」を天秤にかけて、後者を選ぶ。それは、とても誠実な悩み方だと思います。
離婚に踏み切った場合のリスク・マイナス点
では、もし今すぐ離婚に踏み切ったら、何が起こり得るのでしょうか。感情だけで進める前に、現実的なマイナス面も、いったん並べてみましょう。
① 経済的な負担が、一気に増える
二人で支えていた家計が、ひとりの肩にのしかかります。住む場所、生活費、子どもの教育費。養育費を取り決めても、実際に最後まで支払われ続けるとは限らない——というのは、各種調査でも繰り返し指摘されている現実です。「親権を取れたから安心」とは、必ずしもいかないのです。
② 子どもの生活環境が、大きく変わる
引っ越し、転校、友達との別れ。子どもにとって、学校は社会生活のほぼすべてです。築いてきた人間関係を一度リセットすることが、どれだけの負担になるか。とくに環境の変化が苦手な子にとっては、見過ごせないダメージになり得ます。
③ 「親が別の家庭を作る」可能性
これは、あまり語られないけれど大きなポイントです。離婚すれば、いずれどちらかの親が再婚し、「別の家庭」を持つこともあります。子どもにとっては、片方の親が遠い存在になっていく——その喪失感は、想像以上に深いものです。
「待つ」=我慢、ではない ― 別居・実家という選択
ここで、大切な考え方をひとつ。「子どものために待つ」というのは、“離婚(婚姻関係の解消)”を待つ、というだけのこと。同じ家で、ひたすら我慢し続けなければいけない、という意味ではありません。
つまり——離婚はしないけれど、別居する。子どもを連れて、実家に戻る。そういう選択は、十分にあっていいのです。
法律上の夫婦であることは続けたまま、物理的な距離だけを取る。これだけで、あなた自身の日々のストレスは、実質的にぐっと軽くなります。顔を合わせる回数が減るだけで、心の余裕はまるで変わってくるものです。
この形のいいところ
- 離婚していないので、子どもにとっては「父親」「母親」が居続ける。親が別の家庭を作る心配もない。
- たまに会うくらいの距離感なら、関係をこじらせずに済むことも多い。
- 離れる理由は、「仕事の都合」「学校(進学・通学)の都合」などで自然に説明できる。子どもに余計な不安を与えにくい。
子どもへの負担は小さく抑えながら、自分の心は守る。「離婚か、我慢か」の二択ではない、その“あいだ”の選択肢です。
単身赴任と同じ、と考えてみる
そもそも、夫婦が離れて暮らすことは、特別なことではありません。単身赴任、海外赴任、遠洋漁業、長距離トラックの運転手——世の中には、仕事の都合でなかなか一緒に暮らせない夫婦が、いくらでもいます。
そういう家庭の子どもは、たまに帰ってくる親と過ごし、それでもちゃんと「お父さん」「お母さん」として親を感じて育ちます。離れて暮らしていること自体は、子どもにとって決して異常なことではないのです。
だとすれば、別居も同じこと。「離婚した家庭」ではなく「親が事情で離れて暮らしている家庭」。呼び方とかたちが違うだけで、子どもが受け取るものは、ずいぶん変わってきます。
ただし、我慢してはいけないケースもある
ここまで「待つ」「距離を取る」という選択をお話ししてきましたが、絶対に我慢してはいけないケースがあります。
DV(暴力)やモラハラ(精神的な虐待)など、心や体の安全が脅かされている場合です。殴る・蹴るといった身体的な暴力だけでなく、怒鳴る・無視する・生活費を渡さない・行動を制限する——こうした行為も、すべて立派な「暴力」です。
そういう状況であれば、子どものためにも、まず逃げることが必要です。耐え続けることは、あなたを傷つけるだけでなく、その姿を見て育つ子どもの心にも、深い影響を残します。「子どものために我慢」が、かえって子どもを傷つけてしまうこともあるのです。
⚠️ つらいとき、ひとりで抱えないで
どこに相談したらいいか分からないときは、まずこちらへ。性別を問わず、誰でも相談できます。匿名でも大丈夫です。
- DV相談ナビ #8008(はれれば)
最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。 - DV相談プラス 0120-279-889(つなぐ・はやく)
24時間対応。電話のほか、メール・チャット相談も可能です。 - 身の危険を感じる緊急時は、迷わず110番(警察)へ。
本当に必要なときは、逃げることは「正しい選択」です。そのうえで、いきなり離婚という形を取らなくても、まずは別居や実家への避難から始めることもできます。
「待つ」ことにも、代償はある
ここまで「待つ」「距離を取る」という選択をお話ししてきました。ただ、公平にお伝えしておきたいことがあります。“待つ”という選択にも、それなりの代償があるということです。
たとえば、新しいパートナーとの再婚を考えている方。あるいは、「次の子どもが欲しい」と願っている方。子どもが独立するまで——と10年、15年待っていたら、その間に状況は大きく変わってしまいます。
とくに女性の場合、子どもを産める年齢には、どうしても期限があります。これは、気持ちや努力ではどうにもならない、体の現実です。「上の子が大人になるまで待とう」と考えているうちに、新しい家庭で子どもを授かる可能性が、静かに遠ざかってしまう——そういうこともあり得ます。
再婚や次の子どもを前向きに考えるなら、「子どもの年齢が低いうちのほうが、新しい家庭に馴染みやすい」という見方もあります。焦る必要はありませんが、“いつまでも待てるわけではない”という時間の感覚も、選択肢の一つとして頭の片隅に置いておいてよいと思います。
待つことも、距離を取ることも、あなたの選択
子どものために、離婚を待つ。それは尊い選択です。でも、その「待つ」は、同じ屋根の下で耐え続けることだけを意味しません。別居する、実家に戻る、単身赴任のように距離を取る——婚姻関係を続けたまま、自分の心を守る方法は、ちゃんとあります。
そして、心や体の安全が脅かされているなら、待つ必要はありません。逃げていい。それも、あなたと子どもを守るための、立派な選択です。
どんな道を選ぶとしても、選ぶのは、あなた自身の意思です。
次の一歩を考えるためのページを、用意しています。気になるほうから、のぞいてみてください。
▶ 離婚を検討されている方へ
別居・調停・お金のことまで。後悔の少ない選択を考えるための情報をまとめています。
▶ 離婚しないという選択
立ち止まって考えてみる時間も大切。思いとどまった人たちの体験談や考え方を集めました。
あなたの心も、子どもの心も
どちらかを犠牲にしなくていい方法を、一緒に探していきましょう。
焦らず、あなたのペースで大丈夫です。
※本記事は一般的な考え方をご紹介するものです。安全に関わる事態や、親権・養育費など具体的な手続きについては、上記の相談窓口や、弁護士・自治体の窓口など専門機関にご相談ください。