自分が慰謝料を請求されるケース(不貞以外)|マリッシュ再出発準備室

自分が慰謝料を請求されるケース(不貞以外)|マリッシュ再出発準備室



「慰謝料」と聞くと、多くの人がまず不倫(不貞)を思い浮かべます。でも、慰謝料が発生するのは、それだけではありません。

この記事では、不貞以外で「自分が慰謝料を請求されるかもしれない」ケースを整理します。逆に、請求されにくいケースもあわせて解説。「もしかして自分も?」と不安な方も、落ち着いて読み進めてください。

夫婦と法律のイメージ
※画像はイメージです

慰謝料は「離婚したから」ではなく「落ち度」に対して発生する

まず、大事な前提から。離婚したからといって、自動的に慰謝料が発生するわけではありません。

慰謝料は、どちらか一方に「法的な落ち度(有責性)」があり、その行為で相手が精神的な苦痛を受けたときに発生します。逆に言えば、どちらにも明確な落ち度がなく、すれ違いで別れる「対等な離婚」では、慰謝料は原則発生しません。

ポイント:「慰謝料=離婚の手切れ金」ではありません。あくまで「相手を傷つけた行為」に対する賠償です。だから、何が「落ち度」にあたるのかを知っておくことが、自分を守る第一歩になります。

不貞以外で請求されうる主なケース

不貞(不倫)以外で、慰謝料の対象になりやすい代表的なケースは次のとおりです。

ケース どういうもの?
身体的DV(暴力) 殴る・蹴るなど、配偶者への暴力。明確な不法行為。
モラハラ(精神的DV) 日常的な暴言・人格否定・無視など。継続性や程度が問われる。
悪意の遺棄 正当な理由なく、同居・協力・扶助の義務を放棄すること。
経済的DV 生活費を渡さない・お金を独占して相手の自由を奪う、など。
正当な理由のない性的拒否 長期間・一方的な拒否で夫婦生活が破綻した場合(程度による)。

共通するのは、「夫婦が互いに負う義務(同居・協力・扶助)に、深刻に反したかどうか」という視点です。一度きりの喧嘩や、軽いすれ違いでは、まず認められません。

「悪意の遺棄」― 育児・家事の放棄はどうなる?

気になる方が多いのが、「家事をしない」「育児をしない」は慰謝料の対象になるのか?という点です。結論を先に言うと――それ単体では、原則として認められにくい。でも、程度や状況によっては「悪意の遺棄」として問われることがあります。

そもそも夫婦には、同居し、互いに協力し、助け合う義務があります。これを正当な理由なく一方的に放り出すのが「悪意の遺棄」。たとえば、次のようなケースです。

  • 正当な理由なく、突然家を出て帰らない
  • 働けるのに働かず、生活費を一切入れない
  • 病気の配偶者を放置して、世話をしない
  • 育児を一方的に丸投げし、子の世話を放棄する

では、「家事」と「育児」をそれぞれ見てみましょう。ここには、はっきりとした温度差があります。

家事をしない

家事の分担は、法律で決まっていません。「どちらがどれだけやるか」は夫婦の取り決めの問題。そのため、家事をしないこと”だけ”で慰謝料が認められるのは難しいのが実情です。ただし、極端に一方へ負担を強い、他の問題(モラハラ等)と重なると、評価材料の一つにはなり得ます。

子どもを育てない

育児は、家事より重く見られます。子の世話を一切せず丸投げした、ネグレクト(育児放棄)に至った、という場合は「監護を分担する責任」の放棄として、有責性が認められやすくなります。子の安全に関わるほど深刻なら、なおさらです。

ただし、どちらも「程度問題」です。「ちょっと非協力的だった」「忙しくて手伝えなかった」というレベルでは、慰謝料には届きません。“一方的・継続的・深刻”という三拍子が揃って初めて、問題になり得る――と考えておくのが現実的です。「やってくれない=すぐ慰謝料」とはならない、ということです。

逆に「請求されにくい」ケース

一方で、別れる原因としてはよくあるのに、慰謝料には結びつきにくいケースもあります。これらは「どちらが悪い」と言い切れない、すれ違いの問題だからです。

  • 性格の不一致(最も多い離婚理由ですが、落ち度ではありません)
  • 価値観・金銭感覚のズレ
  • 単なる喧嘩・倦怠期・愛情の冷め
  • どちらにも有責性のない「すれ違い離婚」

つまり、「気持ちが離れた」「うまくいかなくなった」だけでは、慰謝料は発生しないのが原則。だから「離婚を切り出されたら必ず払うもの」と思い込む必要はありません。

どのくらいの金額になる?(相場)

不貞以外のケースでも、金額は個別の事情に応じて裁判所が判断します。あくまで目安ですが、過去の傾向は次のとおりです。

ケース 相場の目安
身体的DV・モラハラ 50〜300万円(程度により大きく変動)
悪意の遺棄 50〜200万円
正当な理由のない性的拒否 50〜150万円

傾向としては、不貞と同じく「期間が長い・程度が深刻・相手の被害が大きいほど高くなる」。逆に、一時的なものや、双方に事情があった場合は低めになります。

もし自分が請求されたら ― 落ち着いて確認すること

「慰謝料を請求された」となると、つい動揺してしまいます。でも、請求された=必ず払う、ではありません。まず落ち着いて、次の点を確認しましょう。

⬆ 認められやすくなる方向

  • 行為が一方的・継続的だった
  • 相手の被害(心身の不調など)が大きい
  • 証拠(録音・診断書・記録)がそろっている
  • 婚姻期間が長い・子どもがいる

⬇ 反論・減額の余地

  • 主張に証拠が乏しい
  • そもそも「落ち度」と言える行為がない
  • 双方に事情があった(一方的でない)
  • 家事・育児の非協力など、単体では弱い主張

大切なこと:請求書(内容証明など)が届いても、その場で慌てて金額を認めたり、署名したりしないこと。相手の主張に根拠があるのか、金額は妥当か――冷静に見極める必要があります。一人で判断せず、早めに弁護士へ相談するのが、結果的に最も安全です。

選ぶのは、あなた自身

慰謝料は、「離婚したから」ではなく「相手を傷つける落ち度があったとき」に発生します。だからこそ、何が落ち度にあたり、何はそうでないのかを知っておくことが、自分を守る盾になります。

請求する側になることも、される側になることもあります。どちらの立場でも、感情に流されず、事実と証拠にもとづいて冷静に進めること。それが、後悔の少ない結果につながります。

どんな道を選ぶとしても、選ぶのは、あなた自身の意思です。

次の一歩を考えるためのページを、用意しています。気になるほうから、のぞいてみてください。

正しい知識が、あなたを守る

「請求された」と慌てる前に、まず知識を。
何が落ち度で、何はそうでないのか――それを知るだけで、立ち位置は変わります。

※本記事の金額・判例は一般的な傾向の解説で、執筆時点のものです。実際の判断は個別の事情により大きく異なります。具体的な請求・対応は、弁護士など専門家にご相談ください。