持ち家の問題:住宅ローン・名義など(財産分与)|マリッシュ再出発準備室送信

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離婚で持ち家があると、話は一気に複雑になります。「家は誰のもの?」「ローンは誰が払う?」「名義はどうする?」――現金のように、すぱっと半分にはできません。

この記事では、持ち家の財産分与の基本に加えて、ペアローン・土地と建物で名義が違う・親に買ってもらった/親名義といった特殊ケース、そして「家をもらう代わりにローン残債を引き受ける」という考え方まで整理します。

家とお金のイメージ
※画像はイメージです

まず大前提 ― 「名義」と「ローン」は別物

持ち家の話で最初につまずくのが、ここです。「家の名義(誰のものか)」と「ローンの名義(誰が返すか)」は、別々に考える必要があります。この2つがごちゃ混ぜになると、話が見えなくなります。

分けて考える2つ 中身
① 所有名義
(誰の家か)
登記上の所有者。夫だけ・妻だけの単独名義か、2人で持つ共有名義か。
② ローンの
契約形態
誰が返済義務を負うか。単独債務/連帯債務/連帯保証/ペアローンの4タイプ。
ここで大事なのが、「家の名義が夫だけでも、財産分与の対象になる」こと。結婚後に夫婦で買った家なら、たとえ名義が一方だけでも、夫婦が協力して築いた財産とみなされ、原則は分け合う対象です。「名義が自分じゃないから関係ない」と思い込むのは、損のもとです。

カギは「アンダーローン or オーバーローン」

持ち家の財産分与は、まず「家の今の価値」と「ローン残高」のどちらが大きいかで、対応がガラッと変わります。

アンダーローン(家の価値 > 残債)

売れば、ローンを返してもお金が残る状態。「時価 − ローン残高」がプラスの財産として、財産分与の対象に。残った現金を分けるので、比較的もめにくい。

オーバーローン(家の価値 < 残債)

売ってもローンが返しきれない状態。資産価値はゼロ(マイナス)とみなされ、原則として財産分与の対象外。ただし他のプラス財産があれば、そこから差し引いて計算することも。

📝 アンダーローンの計算イメージ

家の時価 2,000万円/ローン残高 1,500万円 の場合:

2,000万 − 1,500万 = 500万円(これが分ける対象)

これを2分の1ずつ → 一人 250万円。家をもらう側は、相手に250万円を「代償金」として払うのが一般的。

まずやるべきは、①ローン残高を調べる(残高証明書・返済予定表)/②家の時価を調べる(不動産会社の査定、複数社が望ましい)。この2つが分からないと、何も始まりません。

ローン残債をどうする? ― 家をもらう=負債を負う

ここが、今回いちばん知ってほしい考え方です。「家をもらう」ということは、同時に「残りのローンを払う義務(負債)を背負う」ということ。家という”資産”だけをもらえるわけではありません。

たとえば、こんな整理ができます。

  • 家(資産)をもらい、現金は受け取らない代わりに、ローン残債を引き受ける ―― 「プラスの家」と「マイナスのローン」をセットで引き取るイメージ。
  • ローンを払い続けることで、そのマイナス分を、ほかの財産(現金・預貯金など)の取り分から差し引く ―― 一方が負債を多めに背負うなら、その分、現金などを多めにもらってバランスをとる、という調整。
つまり財産分与は、「家・現金・ローン(負債)を全部ひとつのテーブルに乗せて、トータルで公平になるように分ける」のが本質。「家は欲しいけどローンは嫌」というわけにはいかず、家を取るなら、その負債もセット。逆に、負債を引き受けるからこそ、ほかで多めにもらう交渉も成り立ちます。ここは夫婦の合意しだいで、柔軟に組み立てられる部分です。

自分が住む場合・相手が住む場合

「誰が住み続けるか」で、注意点は変わります。代表的なパターンを見てみましょう。

▶ 自分(家を出ない側)が住み続ける場合

自分が住み、自分がローン名義人でもあるなら、いちばんシンプル。そのまま住んで、自分で返済を続ければ、特別な手続きは要りません。

やっかいなのは、ローン名義が相手(出ていく側)のまま、自分が住み続けるケース。この場合、相手が返済を滞らせると、家が差し押さえられて住めなくなるリスクがあります。「住むのは自分、払うのは相手」は、相手の支払いに自分の住まいが左右される、不安定な状態だと知っておきましょう。

▶ 相手が住み、自分が出ていく場合

自分が家を出るとき、見落としがちなのが「連帯保証人・連帯債務者から抜けられているか」。離婚しても、連帯保証・連帯債務の関係は自動では解消されません。

たとえば、家を出た自分が、相手のローンの連帯保証人のまま。すると、相手が滞納したとたん、住んでもいない家のローンを自分が請求される――という事態が起こり得ます。出ていく側こそ、保証契約から抜ける手続き(借り換え・免責的債務引受など)を、離婚時にしっかり進めることが大切です。

名義変更は、勝手にできない

「家の名義を自分に移したい」「ローンの名義を相手から自分に変えたい」――気持ちは分かりますが、ローンが残っている家の名義変更は、勝手にはできません。

  • 所有名義の変更:多くのローン契約に「金融機関の承諾なく所有権を移してはならない」という条項あり。無断で変えると契約違反 → 一括返済を求められるリスク。
  • ローン名義(債務者)の変更:新たなローン審査と同じこと。金融機関が当然に認めるとは限らず、基本的に難しい。実現するには「借り換え」が現実的なルート。

名義変更が難しいときの代替策として、「ローン名義は相手のまま、住む側がローン相当額を相手に直接支払う」という合意にすることもあります。ただしこれも、相手の協力と信頼が前提。トラブルを避けるため、公正証書で取り決めを残すのが安全です。

特殊なケース ― ペアローン・土地建物・親がらみ

ここからは、相談の多い「特殊なケース」を見ていきます。あなたの状況に近いものがあるかもしれません。

① ペアローン・連帯債務を組んでいる

夫婦がそれぞれローンを組むペアローン(ローンが2本)や、1本のローンを2人で負う連帯債務。これらは離婚時にいちばんこじれます。なぜなら、離婚後も2人とも返済義務が残り、しかも互いの連帯保証人になっていることが多いから。

放置すると、相手が滞納したら自分が全額かぶるリスクが続きます。理想は、離婚時に一本化すること。具体的には、一方の債務をもう一方が引き取る「免責的債務引受」や、借り換えで1人のローンにまとめる。ただし、どちらも金融機関の審査・承諾が必要で、収入によっては通らないこともあります。

② 土地と建物で名義が違う

「土地は親の名義、建物は夫婦の名義」というケース。この場合、財産分与の対象になるのは、原則”夫婦名義の建物だけ”です。親名義の土地は、夫婦が築いた財産ではないため、対象外。

ただ、土地が親のものだと、離婚後にその家をどうするか(住み続けられるのか、売れるのか)が難しくなりがち。建物だけ売るのも現実的でないことが多く、親を交えた話し合いが必要になります。

③ 親に頭金を出してもらった(自分名義で住んでいる)

家は自分(夫婦)名義だけど、頭金を自分の親が出してくれたというケース。この「親が出した頭金」は、特有財産(夫婦の協力で築いたのではない、その人固有の財産)として、財産分与の対象から除ける可能性があります。

📝 親の頭金がある場合の計算イメージ

購入価格 3,000万円/うち自分の親の頭金 600万円(=全体の2割)

家の時価が 2,500万円に下がっていたら、頭金分も2割で評価:2,500万 × 20% = 500万円

この500万円は自分の特有財産として先に確保し、残りを夫婦で分ける、という考え方。

注意:頭金が「親からの援助だった」ことは、自分で証明する必要があります(贈与契約書・振込記録など)。証明できないと、共有財産とみなされて分与対象にされてしまうことも。また、出した額がそのまま戻るのではなく、家の値下がりに応じて目減りした割合で計算されるのが一般的です。

④ 家そのものが親名義

住んでいる家が、まるごと親の名義という場合。これは話がシンプルで、親名義の家は、財産分与の対象になりません。夫婦が築いた財産でも、夫婦どちらかの特有財産でもなく、あくまで「親の持ち物」だからです。

ただし、親と夫婦の共有名義(親が一部、夫婦が一部を出資)なら、夫婦の持分にあたる部分だけが財産分与の対象になります。誰がどの割合で出したか(登記の持分)がカギです。

家の問題は、早めに「見える化」を

持ち家の財産分与は、ここまで見てきたように、名義・ローン形態・残債・時価・親の援助……と、見るべきポイントが多く、争点になりやすい分野です。「なんとなく」で進めると、後から大きな損やトラブルになりかねません。

まずやるべきは、状況を”見える化”すること。①家の名義は誰か ②ローンの契約形態は何か(単独/連帯/ペア) ③ローン残高はいくらか ④家の時価はいくらか ⑤特有財産(親の頭金など)はあるか。この5つを書き出すだけで、論点がぐっと整理されます。

なお、財産分与を請求できる期間には期限があります。従来は「離婚から2年」でしたが、法改正により「離婚から5年」へ延長される予定です(2026年までに施行)。とはいえ、離婚後は相手が財産を処分・隠すリスクも高まるため、家のことは離婚成立前にきちんと取り決めておくのが安全です。

どんな道を選ぶとしても、選ぶのは、あなた自身の意思です。

次の一歩を考えるためのページを、用意しています。気になるほうから、のぞいてみてください。

複雑な家の問題こそ、知識が味方

名義・ローン・残債……まずは現状を見える化することから。
ひとりで抱え込まず、専門家の力も借りながら、納得のいく分け方を。

※本記事の計算例・考え方は一般的な解説で、執筆時点のものです。実際の評価・分与は個別の事情や金融機関の契約内容により大きく異なります。具体的な対応は、弁護士・司法書士など専門家にご相談ください。