「離婚したい」は本心? それとも一時の感情?|マリッシュ再出発準備室

「離婚したい」は本心? それとも一時の感情?|マリッシュ再出発準備室


「離婚したい」——その気持ちは、本心でしょうか。それとも、一時の感情でしょうか。

その「離婚したい」が本心なのか、一時の感情なのか。世界中が見守った、ある有名夫婦の危機もヒントにしながら、「その決断、本当に“今”ですか?」を、一緒に考えてみます。

考えるイメージ
※画像はイメージです

ふと口をついて出る「もう離婚したい」

パートナーと衝突したとき、心の中で——あるいは口に出して——「もう離婚したい」とつぶやいた経験は、ありませんか。

その瞬間は、本気でそう思っている。でも、しばらくして冷静になると、「言いすぎたかも」「本当にそこまで思っていたかな」と、気持ちが揺れる。——そんなことも、少なくないはずです。

「離婚したい」という強い言葉は、本心のこともあれば、その時の感情が言わせていることもあります。そして、その二つは、自分でも意外と見分けがつきにくいもの。だからこそ、答えを出す前に、一度立ち止まって確かめてみることが大切です。

その「立ち止まり」のヒントになる、ある有名な夫婦のエピソードから始めてみましょう。

世界中が「離婚する」と思った、ある夫婦の危機

2004年、サッカー界だけでなく、世界中のニュースや週刊誌が、ある話題で持ちきりになりました。元イングランド代表のスター選手、デビッド・ベッカムさんをめぐる不倫疑惑です。

当時のベッカムさんは、イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドから、スペインのレアル・マドリードへ移籍したばかり。世界最高峰のクラブでプレーする一方、家族とは離れて暮らす時間が増えていました。そんなタイミングで浮上した疑惑は、瞬く間に世界中へ広がります。「理想の夫婦も、これで終わりか」——そんな見出しが並び、多くの人が「離婚は避けられない」と思いました。

ここで、ひとつ大切な点を。この疑惑について、ベッカムさん本人は当時から一貫して否定しています(相手とされた女性側は、関係があったと主張し続けています)。事実関係を第三者が断定することはできません。この記事で注目したいのは、疑惑の真偽ではなく、「世界中から注目される嵐の中で、夫婦がどう向き合ったか」です。

毎日のように報道され、外へ出れば視線を感じる。そんな生活は、想像するだけで心が削られそうです。妻のヴィクトリアさんは、2023年公開のドキュメンタリー『BECKHAM』で、当時を「人生でもっともつらい時期だった」と振り返り、「まるで世界が自分たちに敵対しているようだった」と語っています。

それでも二人は、その場で「離婚」という結論を出しませんでした。時間をかけて、家族としてどうしたいかを考え、今も夫婦として歩んでいます。もちろん、すべての夫婦が同じ結論になるわけではありません。それでも、「一番つらい瞬間に、人生を決めなかった」という事実は、多くの人のヒントになるのではないでしょうか。

「もう無理」と思う日は、誰にでもある

「もう離婚したい」——この言葉は、実は、離婚を決意した人だけが口にするものではありません。

仕事で疲れて帰宅した日、何気ない一言で口論になる。「また脱ぎっぱなしなの?」「そんな言い方しなくても」。ほんの5分前まで普通に夕食を食べていたのに、気づけばお互い無言。テレビの音と、食器の音だけが響く。——そんな夜を経験したご夫婦は、少なくないでしょう。

以前、知人がこんな話をしていました。結婚12年、子どもが二人いる家庭です。奥さんは「もう限界」と思い、実家へ帰る荷物までまとめました。ご主人は何も言わず、その日はリビングで寝たそうです。

翌朝、出勤前にテーブルを見ると、小さな紙が一枚。

「昨日はごめん。話す時間をください。」

たった一行。奥さんは、その紙を見た瞬間に、涙が出たそうです。「ああ、私は離婚したかったんじゃない。ちゃんと向き合ってほしかっただけなんだ」と。

もちろん、これがすべての夫婦に当てはまるわけではありません。長年話し合いを重ね、それでも改善せず、離婚を選ぶ方もいます。ただ、「離婚したい」という言葉の裏に、「分かってほしい」「苦しい」「助けてほしい」という気持ちが隠れていることも、あるのです。

その言葉は、本当に「離婚したい」気持ち?

少しだけ、自分に問いかけてみてください。

「相手が今日から別人のように変わったら、それでも離婚したいですか?」

もし答えが「いいえ」なら、手放したいのは結婚生活ではなく、“今の苦しさ”なのかもしれません。

話を聞いてくれない。感謝の言葉がない。スマホばかり見ている。休日も仕事ばかり。——そんな毎日が積み重なると、「この人とはもう無理」と感じることがあります。でも、本当に嫌なのは「この人」でしょうか。それとも、「今の関係」でしょうか。この二つは、似ているようで、まったく違います。

感情が動いているときほど、答えを急がない

人は怒っているときほど、「今すぐ決めたい」と思います。勢いで仕事を辞めたくなる。相手をブロックしたくなる。それと同じで、離婚も、感情のピークで考えてしまうことがあります。

だからといって、「我慢してください」という話ではありません。我慢を続けて、心や体が限界を迎えてしまうこともあります。大切なのは、「今日決めなければならない」と思い込まないことです。一週間後でも、一か月後でも、人生を左右する決断はできます。

その間に、別居という距離の取り方を選ぶ方もいます。夫婦カウンセリングを受ける方も、信頼できる友人や家族に相談する方もいます。選択肢は、「続ける」か「離婚する」の二つだけではありません。

手放したいのは、結婚生活? それとも今の苦しさ?

もし今、「離婚したい」という気持ちが頭から離れないなら、一度だけ、紙に書き出してみてください。

  • 何が、一番つらいのか。
  • どうなれば、少し楽になるのか。
  • 本当は相手に、何を伝えたいのか。

意外なことに、「離婚したい」と何度も書く人は、ほとんどいません。並ぶのは、「寂しい」「話を聞いてほしい」「ありがとうと言ってほしい」——そんな言葉だったりします。

もちろん、中には「もう十分頑張った」と思える方もいます。その気持ちを否定する必要は、まったくありません。ただ、人生を大きく変える決断だからこそ、一番苦しい瞬間の自分だけに、答えを任せないことも大切です。

世界中が「もう終わりだ」と思ったあの夫婦も、その場では結論を出しませんでした。時間をかけて向き合い、自分たちなりの答えを見つけた。その答えが、たまたま「夫婦を続けること」だっただけです。大切なのは、同じ選択をすることではありません。感情だけで決めるのではなく、「自分は本当はどうしたいのか」を確かめてから、答えを出すこと。

もし今も迷っているなら、今日だけは「離婚するかどうか」ではなく、「自分は何に苦しんでいるのか」を考えてみませんか。その答えが見えてきたとき、本当に選ぶべき道も、少しずつ見えてくるかもしれません。

どんな道を選ぶとしても、選ぶのは、あなた自身の意思です。

次の一歩を考えるためのページを、用意しています。気になるほうから、のぞいてみてください。

一番つらい瞬間に、人生を決めない

「離婚したいか」ではなく「何に苦しんでいるか」。
そこから考えると、本当に選ぶべき道が見えてきます。

※本記事で触れた事例は、報道・公開済みのドキュメンタリーなどで知られる内容をもとにしています。当該の疑惑については本人が否定しており、真偽を断定するものではありません。心や体の安全が脅かされている場合は、我慢せず専門の窓口にご相談ください。